Project Wivern What's Wivern?

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「そもそもワイバーンって、ナニモノ?」
ガンダム・センチネルという固有名詞を、そしてそこにZ-plusやSガンダムといった可変MSが登場することを知っている方の間でも、意外と知られていないであろう、ワイバーンという戦闘機。
ガンダム世界では戦闘機の活躍する場は極端に少ない。TVでは「機動戦士Zガンダム」あたりまでしか戦闘機は登場しないし、それも一年戦争以前に生産された機体を使い続けており、MS時代になって相応のモノとして作られた形跡もないのだ。
そんな状況において、言ってしまえば同人作品の中で発表された"ワイバーン"。

そんな、ガンダム世界にありながらロボットですらないただの飛行機を、そしてなぜ当「Project WR」がこれほどまでにフィーチャーするのかを、4つのキーワードをもとに説明してみたいと思う。



「ワイバーン」とは地球連邦軍の戦闘機で、型式番号はFF-08WR。
それまでの高々度迎撃機「フライダーツ」の後継として、地球の大気圏上層に侵入してきた敵機を迎え撃つ、地球防衛の新たな要の役割を担った機体である。

極超音速飛行に適したデルタ型のブレンデッド・ウイングボディを持ち、正面から見て緩やかにハの字を描く傾斜から、ウェイブライダー的な空力特性を備え、エンジンはターボファン/ロケット推進のハイブリッドタイプで、大気圏内〜低軌道をシームレスに運用可能だ。

機体の大きな特徴は2つ。
1つ目はコアファイターバリエーション機であることを示す「コクピットモジュール」で、既存の設計をそのまま使用できるほか、MSに搭載される非常に高性能なアビオニクスを流用出来るというメリットがあった。
2つ目は後方に大きく伸びた「テールスタビレーター」だ。MSの運用において実証されたAMBAC理論(※)を採用した作動肢は、宇宙空間での精密な姿勢制御と機動性、必要なプロペラント容積を獲得した。

これらMS並の頭脳と作動肢は、MS全盛時代の航空機としてMSとの親和性/運用の柔軟性/破格の機動性/精密な航行能力や射撃能力といったさまざまな要件を高いレベルで満たし、全領域戦闘機という新たなフォーマットを誕生させたのだった。
CPが非常に高く、高性能な新型機となったワイバーンは、あらゆる領域で使用されるべく様々なバリエーション機が生みだされていくことになる…

配備状況については定かではないが、宇宙世紀0087当時には既に実戦配備が行われ、一部はその特性からTMS(変形型MS)への機種転換のための訓練機として、パイロット候補生らに使用された。

全長:15.32m(テールスタビレーターを含まないと思われる)、全幅:9.5m、本体重量:15.3t、全備重量:20.0t、
推力:10,500kg×2、固定武装:60mmバルカン×1。

※AMBAC:宇宙空間において、モビルスーツが本体から離れた位置にある質量(四肢など)を移動することによって姿勢を制御、変更するという概念



モデルグラフィックスの別冊として発売された「ガンダムセンチネル」において初めて、ワイバーンという戦闘機は世に出ることとなった。

「ガンダムセンチネル」は、模型雑誌モデルグラフィックスの誌面で1987年から1990年まで3年近く続いた、「機動戦士ガンダム」を題材とした連載企画。

テレビシリーズ「機動戦士Zガンダム」と「機動戦士ガンダムZZ」のはざまの時間を時代背景とした、地球連邦軍独立部隊"タクスフォースα"とティターンズ残党"ニューディサイズ"の戦いを、模型を使った情景写真と小説で描いた「フォトストーリー」だ。

硬派な小説、SFXを駆使した臨場感溢れる情景写真、そして雑誌オリジナルのガンダムである「Sガンダム」「Z-plus」「ガンダムMk-X」といった模型作例などで、回を重ねるごとに人気を博していった。
特にガンダムモデラーには影響が大きく、「〜センチネル」で紹介された「MSに航空機的表現を盛り込む」製作技法や「スプリッター迷彩」「空気遠近法による塗装表現」といった塗装方法が、後々に渡るまで広く浸透することになる。

当サイトで取り上げているワイバーンは、雑誌連載当時には設定されておらず、のちに発売された別冊の目玉作例のひとつとして、フォトストーリー冒頭に登場した。
印象的な塗装、グレー3色のセンチネルスプリッターは「WHATS? その1」で紹介したものと同様だ。
1/72で製作された作例は現用航空機のテイストたっぷりで、その特徴的なシルエットとのアンバランスさと込みで、不思議な魅力を持っていた。

これだけならばフォトストーリー用に準備した新作、で話は終わったのだが、その後本誌にて再度掘り下げられることになる。
モデルグラフィックス誌No.64にて、「ワイバーンバリエーション」と銘打ち、ワイバーンを芯にしたさまざまなバリエーション機が発表されることになった記事がそれだ。
いわく、カラーバリエーションから完全な宇宙機への改修、電子戦機に果てはG-COREとの合体機(!)というネタまで惜しげもなく投入され、初期設定などのデザインワークや"航空機"としての詳細解説など、ワイバーン全体を総括するものだった。

こうしてワイバーンという機体は、単なる飛行機からひとつのシステム(生態系)へ、わかりやすく言えば「遊べるメカ」として認知されるようになる。



私KuWaが「君にも出来る!?ワイバーンスクラッチ」というアオリ気味のタイトルで1/144ワイバーンの製作記を発表したのは、2005年11月にオープンしたサイト「Project S」。
主催のBPM180氏を中心とした

「ガンダムセンチネル2(仮称)に登場するとされたTMS、センチネル2ガンダム(仮称)の変形機構を寄ってたかって考察しよう!」

とのかけ声に集まったメンバーによる、WEB企画だ。

イラスト1枚のみの発表という、謎だらけのMSであるセンチネル2ガンダム(以後S2G)を、せっかく謎だらけなんだからみんなで思い思いのS2G像を、変形方法を喧々諤諤ぶつけ合いたい、という多分にレアな妄想をWEB上に再現した形だ(笑
内容は、渾身の「完全変形S2Gの変形CG」をはじめとした、BPM180氏によるセンチネルMSの美麗CG画像/動画を中心に、各メンバーがセンチネル/センチネル2にまつわる造形物を製作するというスタイル。
元ネタのあまりの認知度の低さもあってか、一般に話題になった気配もなかったが、本当に一部の好事家達の遡上には必ず上がる、まったくもってコアなサイトとなった。

そのなかでワイバーン記事は2005年12月から2006年2月までの全5回、完成写真はちょっと遅れて4月に公開。賑やかしの側面と「CGばかりにデカイ顔はさせられないぞ」という当時なりの意地もあったのかもしれない。

連載の時点では「ワイバーンコンペ」の構想はなかったが、バリエーション機製作のため複製はしていた。

そして、完成品と複製品を「ProjectS」メンバーに見せたところから、話は転がり始めた。



モデルグラフィックス誌でのガンダム・センチネル連載が終了して少し後、突如誌面で公開されたメッセージ

「ガンダム・センチネル"II"は、有り得るのか------------------------!?」

と、ともに載った1機のTMSのMS形態/WR形態/コアファイターイラスト。


結論からすれば「有り得なかった」のだろう、「〜センチネル2(仮称)」企画の顔となるはずだった「S2G」は、この公開以降、お蔵入りとなってしまった。
WR形態は大変流麗で、とてもMSが変形したモノとは見えない。またそれだけに変形機構に謎の多いデザインは多くの物議を醸した…に違いない。

垣間見える足の変形など、一部はイラストを描いたデザイナー、カトキハジメ氏の後のメカデザイン(「電脳戦機バーチャロン」に登場するマイザーなど)に生かされていると見えるものの、やはり元となったこのMSの特異なデザインをちゃんと見たい、というファンは多かった…だろう。

そうした思いを持った人たちが2005年にもなってから集い、当時に思いをはせ、互いに意見を戦わせ、CGや完成品を仕上げられたのは、個人的にはちょっとしたトピックだった。

そして、そうした人々の関わりのおかげで、ワイバーンを題材とした今回の企画

「ワイバーンコンペ」

を立ち上げることができたのだった。



長々と書かせていただきましたが、簡潔にまとめると

「WEB企画「Project S」の繋がりから複製品を大勢の方に作っていただけたので、これをよりよい形で公開したい」

というところから今回のWEB企画「Project WR」が成り立っています。

ワイバーンの素晴らしさ云々は「フォロワーの過大評価」に過ぎません(オイ
実際問題、やれそうだから楽しく盛り上がりました、が正解なので、くどい文章に釣られず、話半分に読み砕いてくださいませ。
ただ、必要な情報は必死に並べたつもりなので、「フン!」と捨てないで(笑

それでは「Project WR」による「ワイバーンコンペ」、楽しんでください。


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